古澤良治郎 菅原文 PLATZ ね |
収録曲
|
「Swing Jornal」誌 1996.12月号 |
うーん、これは困った。なんとも評価の難しい作品なのだ。ぼくの大好きな良ちゃんこと古澤良治郎に、”ピットイン”30周年コンサートで、いたく刺激的だった期待の津上研太、それにみかさんという女性ボーカル、この3人のトリオ作だが、はっきり言ってJAZZではない。しかし古澤らしい、ナイーブで、なんとも言えぬハートフルな音が語っている。”こんなもん作ってみました。ね〜”という”ね”かと思ったら、”音であり、根である”そうだ。稀代のメロディー・メイカー、古澤の心象を写し取ったホロッと愛らしい音だ。(小西啓一氏) |
「JAZZ LIFE」誌 1996.12月号 |
<ほんわかとした人柄が滲み出る個性的な1枚> <今月のイチオシ推薦版> |
レコード・コレクターズ」誌 1997.1月号 |
渋谷オーケストラやデガショーなどで大活躍中の古澤良治郎が藤ノ木みか、津上研太と組んだグループ「ね」の第一作。元来ジャンル分けの無用の人だが、本作でも親指ピアノやマリンバを多用してアフリカ的なほのぼのとした乗りのある世界を展開、ボーカルも自然から聞こえてくる風のささやきや木の葉の擦れる音に言葉をつけたような感じ。ピグミー的ポリフォニーやアラブ、東欧など世界の民族音楽の諸要素も見え隠れして聴くほどにクラクラします。(藤原孝弘氏) |
「MJ 無線と実験」誌 1997.3月号 |
去年の秋からずっと発売を待っていたアルバムだった。「ね」のファースト。彼らは、月一度のペースで、東京西荻のアケタの店でライブを行っている。狭いステージいっぱいにアフリカや南米のパーカッション、キッチンボウル、オモチャ、オミヤゲ品の類が並べられている様は、見るだけで楽しい。そして、3人の音、リード楽器は基本的に津上のサックスのみ、その彼も、もっきんやパーカッションに回ることがある。原始的で、あたたかく、悲しく、わきおこる群雲のように広がっていく音。ミニマルではあっても、箱庭的ではない、彼らの音は、風となって草原をわたっていく。草原に遊ぶ野兎となり、野生馬となり、そして大地となる。隙間の多い音空間を支える古澤のグルーブ、ときに静かに涙を流し、にっこりと笑い、ときに吠え狂う津上のサックス、シンプルでいながら大きな存在感を持つ藤ノ木のパーカッションと歌、彼らが描いてみせるのは、我々を生かし、そして殺す、あたたかく厳しい自然だ。(森田義信氏) CDのセロファンをはがし、ケースを開けるとにこやかな3人の記念写真?が飛び出し、その裏には「タイコは太古を、ねは音であり、根でもある。仙台・西荻五十年!!あとちょっと 古澤良治郎」とある。彼もまた一般にはジャズ・ミュージシャンという規定をされながら、その実、時にジャズに背を向けて、音楽の根を、そして音を楽しみ、発信し続けている。子供のように、そして達観したかの如くに。 |